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[連載コラム] 後悔しない周年事業の進め方、教えます

第2回 社員の気持ちがバラバラ。周年を機に、一つになれるのか?

 「この機会に、皆の気持ちを一つにしたいんです」。こう語るのは、来年創業40年を迎える、あるメーカーの社長A氏だ。

 創業当時からA氏は様々な事業に積極的に挑戦し、業績は右肩上がり。途中、成功も失敗もあったが会社は順調に成長し、社員数は1000人を超えた。最近では、テレビをはじめ多くのメディアにも取り上げられるようになった。

 そんなA氏も、今年57歳になる。「これまでは僕が前面に出て、先頭に立ってやってきました。でも、最近気づいたのです。僕の後を継いでくれるようなリーダーが育っていなかった、と」

 また、あるIT企業の社長B氏、58歳。同社もこの10年で急成長を遂げている。

 B氏はイントラネットを通じて、毎日のように社員にメッセージを送り続けてきた。氏の経営理念、仕事への思い、顧客との関わり方……。しかし、最近思ったことがある。「自分のメッセージは、本当に皆に届いているのだろうか」。同社の社員の平均年齢は32歳。皆若く元気がいいが、離職率も高い。

 「自分の思いを、もう一度皆にきちんと伝えたい」、そう感じたB氏は書籍の執筆を始めた。これまでのメッセージを1冊の本にまとめ、社員に配布することを考えている。

 創業者たちは崇高なビジョンを掲げ、熱い思いと強い意思を持って会社を経営してきた。しかし、それが社員たちには伝わっていないのではないか。そんな悩みを抱える経営者は多い。

課題はインナーブランディング

 こうした企業の多くは、周年を機に社員のモチベーションを上げ、社内の一体感を醸成したいと考えている。

 課題は、インナーブランディング(インターナルブランディング)なのだ。

 この課題に「社員主導のマガジン制作」で取り組んだケースがある。今年1月に富士火災海上保険と合併しAIG損害保険となった、AIU保険(当時)だ。

 合併が決まった2013年、同社は経営統合に向けたムーブメントを始動した。創業から70年の歩みを社員皆で振り返り、同社の強みを確認し、未来につなげるというプロジェクトを「LEGEND(伝説)」と名付け、社内での討論会、営業キャンペーン、交流会など様々なイベントを、社員が中心となって行ったのだ。

 その集大成として制作し2015年に発行したのが、一見スポーツ誌のようなスタイルの雑誌「LEGEND」だった。表紙に掲載した「都会を走る営業マン」は同社の男性社員の一人。雑誌の最後には、なんと社員3000人全員の顔写真とメッセージを16ページにわたって掲載した。

 通常、社史や周年史の冒頭には社長や会長の談話が掲載されることが多いが、「LEGEND」では、社長が登場するのは20ページ目。あくまでも「社員が主役」という方針を貫き、従来の周年史と一線を画した斬新なコンテンツとデザインが、社内外で話題になった。

社員を巻き込むプロジェクトとは

 社史や周年史制作に限らず、社員を巻き込む方法はたくさんある。その一つが、社員全員で開催するイベントだ。

 ある中小企業では、周年を機に社員が一丸となってギネス世界記録に挑戦した。海外の従業員も参加し、モザイクアートを作成したグローバル企業もある。社員が一緒に一つのことに挑むことで、一体感を醸成することができるのだ。

 また私たちが提案しているのは、社員参加のワークショップ開催である。テーマは様々だ。周年で何をしたいか、企画案を持ち寄るワークショップ。その会社の未来に向けた事業展開を議論するワークショップ。

 こうしたワークショップをファシリテートすることで、その企業が未来に進むべき姿が見えてくる。成功の秘訣は、社員の自発的な関与だ。それをトップがしっかり認識し、コミットすることに尽きると言える。

大塚 葉

日経BP社
日経BP総研
コミュニケーション研究所
上席研究員

大塚 葉

(おおつか・よう)
日経BP社入社後、「日経PCビギナーズ」発行人兼編集長、日経ビジネスオンライン、日経WOMANプロデューサー、日経BPコンサルティングカスタム出版本部第二部長などを経て現職。著書に『ミリオネーゼのコミュニケーション術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『社史・周年史が会社を変える!』(日経BPコンサルティング)など。
※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。

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