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「魅力」によるブランディングが企業を救う!

 「これまでのブランディング手法では、もうダメなのではないか」。2016年のある日、オフィスの席でこうつぶやいたのは、電通PR企業広報戦略研究所副所長の阪井完二だった。

ブランド戦略にいきづまる担当者たち

 企業広報戦略研究所はこれまで、企業の経営戦略に関わる様々な調査・分析を行ってきた。2014年には国内の上場企業を対象に「広報力調査」を実施、企業の広報活動の実態を分析し、共通の課題をあぶり出した。効果的な広報活動を行う先進企業の事例も取材し、調査結果とともに書籍にまとめたのが『戦略思考の広報マネジメント』(企業広報戦略研究所編著、清水正道監修、日経BPコンサルティング発行、2015年)である。「戦略的広報とは何か」を世に問うた、当時としては画期的な調査・分析だったと言える。

 2015年、同研究所が東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターと共同で実施したのが、「企業の危機管理に関する調査」だった。企業の危機管理に関する活動内容を、「リーダーシップ力」「予見力」「回避力」「被害軽減力」「再発防止力」という5つの視点で独自に数値化し定量的に把握したのが、本調査のポイントだ。この分析結果は『戦略思考のリスクマネジメント』(企業広報戦略研究所編著、日経BPコンサルティング発行、2016年)として発行された。

 「確かにそうかもしれない」。
 冒頭の阪井のつぶやきを聞いてこう答えたのが、同研究所主席研究員の黒田明彦だ。「我々はこれまで、広報戦略やリスクマネジメントの調査・分析を通じて、悩める広報担当者や経営者に向けて様々なヒントを提供してきた。だけど最近は、宣伝やマーケティングなど企業のブランドに関わる担当者たちがいきづまっているのを感じるんだ」

ブランドはイメージだけでは作れない時代に

 「これまでは企業のブランディングといえば、イメージ戦略が中心だった。だけど、それだけでは勝ち残れなくなっているのかもしれないな…」と考えたのは同研究所上席研究員の末次祥行。こうした仮説のもと、企業広報戦略研究所が2016年にスタートしたのが「企業魅力度調査」だった。

 阪井や末次が最初に注目したのが、消費者の行動の変化である。スマホやSNSが急激に普及し、誰でも気軽に情報発信できるようになった。企業の不正や社員の不適切な行動などネガティブな情報も、ネットですぐに拡散される。逆に企業の好ましい行動に多くの「いいね」がつくこともある。企業や従業員の様々な行為を消費者が常にチェックし評価し、それが消費行動や投資行動、株価にさえ影響する時代なのだ。

 こうした状況を企業広報戦略研究所では、「一億総ジャーナリスト時代」と呼んだ。このような状況にあっては、企業のブランディングは従来のイメージ戦略だけでは立ち行かない。従来の「ブランド=イメージ」という考え方から脱却しないといけないのだ。

 そこで研究員たちは「ファクト」(企業の活動や実態)という要素を組み合わせることを考えた。イメージ戦略はもちろん大切だが、それを支える具体的活動や実態がないと納得力は低い。必ず、
 「ブランド=イメージ×ファクト」
 という目線でブランドを考えていこうというのが企業広報戦略研究所による新しい企業ブランド戦略の考え方なのである。

「企業の魅力度」という新しい視点

 「ここ数年、新聞や雑誌で企業に関する記事で『魅力』という言葉が増えていると思いませんか?」と指摘したのは同研究所主任研究員の戸上摩貴子である。調べてみると、ネットでも「魅力」というキーワードの検索件数が急上昇しているのが分かった。「一般的な言葉だけど、企業の強みをストレートに表す重要なキーワードかもしれない」と末次。

 そこで同研究所は2016年から2回にわたって「企業魅力度調査」を実施、生活者1万人を対象に、10業界の計150社の魅力度を定量的に計測した。「魅力」とは「人の心を惹きつけて夢中にさせる力」である。生活者やステークホルダーを企業に惹きつける力を生み出す源泉が、前述のブランド構成要素の「ファクト」であるとし、ファクトを分類・整理して同研究所が独自に生み出したのが「企業魅力度モデル」だ。モデル開発に当たっては、ESG(環境、社会、ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)などの国際的な目標や指針も参考にした。

戦略思考の魅力度ブランディング

戦略思考の
魅力度ブランディング

 この「企業魅力度調査」の分析結果をまとめた書籍が、『戦略思考の魅力度ブランディング』(企業広報戦略研究所編著、日経BP社発行、2018年)である。

 企業の魅力を構成する要素として同研究所が提示するのが、「人的魅力」「会社的魅力」「商品的魅力」の3つ。これらの魅力をあますことなく伝えている先進企業の代表として、三井物産、ソニー、日清食品への取材も行い、同書に掲載した。

 強い企業になるための新しいブランディングの視点、「魅力」の重要性。そして、魅力的な企業になるためには魅力をどのように磨き、どのように発信すればよいのか。その答えが、本書に書かれている。

企業広報戦略研究所

(Corporate communication Strategic studies Institute:略称C.S.I.)

電通パブリックリレーションズ内に設立された研究組織。企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略や体制などについて調査・分析・研究を行っている。

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